一般公開
全文検索
お知らせ 各社の
歴史
経営者
たち
資料室 アーカ
イブス
薬業史   
NOW : 2024/12/12 10:40
[各社の歴史] (株)アステム[医療] 
「みらい創生史BOOK」用Fコード検索

設立:1998年(平成10年)



歴史の概略


事業の再編・統合で事業持株会社/医療卸アステムが誕生

医療という同一市場に対して、重複のないシンプルな組織・機能を確立すると同時に、医療のフルライナーとして総合力を発揮できる企業を目指し、1998年(平成10年)、キョーエイ薬品(株)(株)ダイコー(株)サン・メックコマック(株)が合併し、事業持株会社・医療卸 (株)アステムを設立した。社長に吉村恭彰が就任。

アステム大分本社
https://forestpedia.jp/data/file/photo/1036916605_c3636ba3_98astemforest.jpg



新理念に基づき、地域に根ざした付加価値の高い営業により「市場から選ばれる卸」になるための戦略を次々と実行していった。
2005年(平成17年)には全国的な業界再編が加速し全国卸が誕生する中で、「自立と連帯」を共通の目標に地域卸9社が連携した「葦の会」の設立へ参加。社長には吉村恭彰が就任した。2008年(平成20年)、グループ全体の事業価値向上を目指して純粋持株会社(株)フォレストホールディングスを設立。経営と事業を分離し、以降アステムは事業会社としての運営に専念する。

2012年(平成24年)、メディカル事業改革の一環として、これまで培ってきた専門性を「深化」させ、メディカル独自色を社内外に発信するために社内カンパニー制を導入、メディカル営業本部を「メディカル社」として社内分社化した。翌2013年(平成25年)、血液浄化事業を展開する(株)ユニファを統合。2015年(平成27年)、3年間に及ぶ社内分社化の結果、所期の目的を概ね達成し、社内カンパニー制を発展的に解消、総合医薬品・医療機器卸として再スタートを切った。



(株)アステム[医療]
(株)アステムロゴ


詳細



1998年(平成10年)4月、キョーエイ薬品、ダイコー、コマック、サン・メックの4社が合併し、長崎県を除く九州・沖縄および西中国をカバーする医療総合卸、株式会社アステムが誕生した。

アステム誕生の1年前、初めて南北共同で策定した5ヵ年の中期経営計画「メタモルフォーゼ21」において4社の合併は、「社会の視点に立って、価値ある機能を構築することを目標とする中計最大のテーマであり、医療用医薬品・試薬・医療機器・医療用消耗品など、医療という同一市場に対して、重複のないシンプルな組織・機構を確立すると同時に、医療のフルライナーとして、総合力を発揮できる企業をめざす」と説明されている。

また、新会社の社長に就任した吉村恭彰は、6月19日に開催された合併報告会で次のように所信を述べた。「理念や使命感に燃え、夢と期待、そして不安を抱きながらスタートしたであろう119年前の原点(大石薬舗創業)。今私たちはここに立ち戻り、決して過去に甘えることなく、現状に慢心することなく、謙虚に粘り強く、私どもの新しい基本理念であります「人々の健康に関わる<不>の打開」の実現に向け、健康を未来につなぐアステムフォレストとして、全社一丸となって精進をして参る所存でございます。」

アステム合併披露パーティー


アステム誕生以降、業界再編が一気に進展する。この背景には、急速な高齢化の進展や高度医療の登場による医療費高騰の対策としての診療報酬と薬価の引き下げ、平成4年の仕切価制完全実施後の卸間競争激化による利益率の低下などがあった。

また、医薬分業の進展や物流ニーズの複雑化・高度化、 IT化の進展等に対応するためには、事業規模の拡大や卸間の連携が必要となってきたことも再編を加速させる要因となった。

九州では、1999年(平成11年)にアトル(九宏薬品・ユニック)、2000年(平成12年)に翔薬(九薬・平田天命堂・伊東薬品)が発足。国立病院機構による全国規模の共同入札が実施された2004年(平成16年)には、アトルがメディセオホールディングス(現メディセオパルタックホールディングス)の完全子会社に、2006年(平成18年)には翔薬がスズケンの完全子会社になる。さらに2007年(平成19年)、九州東邦(鶴原吉井・ヤクシン)の東邦薬品完全子会社化に続いて2008年(平成20年)のアルフレッサの単独進出により、全ての全国卸が九州進出を完了した。

医療卸アステムの特徴は、その成り立ちにある。
明治から大正にかけて創業した源流企業の経営者たちは、修行時代、あるいは同業者として出会い、親交を深めた。この繋がりは次の世代よってさらに強化され、九州北ブロックにおける「北九州医薬品卸協同組合」、九州南ブロックにおける「ダイヤ会」という2つの共同体へと進化、やがてキョーエイ薬品、ダイコーとなり、アステムが生まれた。

アステムは、将来の環境変化に備え、早い時期から理念の統一、人材交流、システムの共同利用、諸制度の統一等、物心両面にわたる周到な準備を長い年月をかけて行い、誕生した企業であり、このようなプロセスを経た統合は全国でも稀なケースだった。

理念に基づく経営、進取の精神というDNAを受け継ついだアステムは、発足直後から、地域に根ざした付加価値の高い営業により「市場から選ばれる卸になる」ための戦略を次々と実行する。


◆1999年(平成11年)
業界に先駆けて全営業員にモバイル端末を配備。これにより場所を選ばず受発注と積み上げが行えるようになり、と業務の迅速化・精度向上とコスト削減を実現した。

◆2000年(平成12年)
分散する医療用医薬品の物流機能を集約し、品質管理の向上と安定供給の実現を図るため、業界トップレベルの規模と管理精度を誇る九州LISセンターが竣工、ここを起点とした医薬品流通のネットワークを構築した。

九州LISセンター
https://forestpedia.jp/data/file/photo/1036916605_d3926bdc_2014lis.jpg


◆2001年(平成13年)
物流機能の集約に伴い、特別早期退職優遇制度を実施、176名の応募があった。医療費抑制策としての診療報酬と薬価の引き下げや、仕切価制完全実施後の卸間競争激化による利益率の低下が全国的に進む中、将来を見据えた苦渋の決断であった。

2004年(平成16年)
科学的営業の実践を主眼とした営業活動支援システム「会援隊」を開発、同時に業界初のビジネスモデルとして「Mr.会援隊」をリリース、業界に先駆けて本格的なフィービジネスの展開を開始した


2005年(平成17年)

3月20日(日)、福岡県西方沖を震源とするマグニチュード7の地震が発生、佐賀県鳥栖市に位置する九州LISセンターが被災し、自動倉庫に大きな損傷を受け、商品供給が不可能な状況に陥った。LISセンターには地震発生直後からスタッフが自主的に集結、不眠不休で作業を行い、連休明けの火曜日には商品供給可能な状態まで復旧した。自動倉庫の修理も関係業者の献身的な努力により驚異的なスピードで進められ、3月27日には完全復旧、28日には通常どおり業務を再開した。

同年11月、全国的な業界再編が加速する中、「自立と連帯」を共通の目標に、医薬品流通の研究、地域別市場戦略の展開による販促事業の検討、新たな流通システムの検討を推進するために設立した、地域卸9社による共同運営会社「葦の会」へ参加。吉村恭彰が社長に就任した。

2007年(平成19年)
旧共栄協組メンバーで、提携関係にあった長崎県の藤村薬品がフォレストグループに正式参加した。これにより、九州・沖縄全域のカバーが実現した。

2008年(平成20年)
グループ全体の事業価値向上を目指して、純粋持株会社(株)フォレストホールディングスを設立。経営と事業を完全に分離した。これによりアステムは、地域に根差した医療卸としての機能追求と、営業活動に専念する体制を整えた。

2009年(平成21年)

受注業務の効率化と精度向上を目指して、コールセンター「なでしこ~る大分」を開設。翌2010年(平成22年)には「なでしこ~る福岡」を開設し、全エリアにおける受注体制が刷新された。


2011年(平成23年)
3月11日に発生した東日本大震災によって、グループのリードヘルスケア東北物流センターが被災。葦の会のメンバーで、アステムとの関係が深い東北のバイタルネットも、自社、お得意先に甚大な被害を受けた。

アステム(フォレストグループ)は、同じ葦の会メンバーで北海道を拠点とする、ほくやく・竹山ホールディングスと協力し、地震発生直後から生活必需品や配送用の自転車とバイクを数回にわたって送品。また、社員2名が理美容ボランティアに参加し、被災された方々の散髪や洗髪のサービスを行った。

さらに社員有志から募った義援金によって、復興のための重機操縦免許取得の支援と、移動式人工呼吸器の贈呈を行った。

バイタルネットは自らも甚大な被害を受けながら、混乱の中、医薬品の供給を社員一丸となって行い、地域の医薬品流通を担う企業としての社会的使命を見事に果たした。

2012年(平成24年)
メディカル事業改革の一環として、専門性の深化と総合力の強化を目的に社内カンパニー制を導入、メディカル営業本部を「アステムメディカル社」として社内分社化、翌2013年(平成25年)には、血液浄化部門のユニファを統合した。

同年、各県に分散する医療機器・消耗品等の物流機能を集約した「アステムOWLセンター」が竣工。
同センターは、医療機器・材料の安定供給といった基本機能の強化に加え、「SPD機能」、「メンテナンス機能」、「提案・研修機能」、「洗浄・滅菌機能」といった付加価値機能を有し、さらに環境、BCPにも配慮するなど、次世代型メディカル流通センターとして業界の注目を集めた。


アステムOWLセンター
https://forestpedia.jp/data/file/photo/1036916605_ee8c7ebb_2014owl.jpg


1999年に全営業員にモバイル端末を配備して以来、提案型営業の実現を目指して進化を重ねてきた営業用端末を、さらなる機動力と提案力の強化を目指してiPadに刷新、同時に、次世代型営業「MC(メディカル・コミュニケーター)」の使用を想定したコンテンツの開発を加速させた。


2014年(平成26年)
既存のMS(マーケティング・スペシャリスト)を超える、医療制度や学術ならびに経営サポートに関する幅広い知識と、コンサルティング能力を有することを認定する社内資格「MC(メディカル・コミュニケーター)」制度を導入、従来から進めてきた提案型卸としての方向性を、より明確に打ち出した。


メディカル・コミュニケーター ロゴ

https://forestpedia.jp/data/file/photo/1036916605_0557bd28_MCE383ADE382B4.jpg

10月、リリースから10年を迎えた「会援隊」の後継システム「JeDI」シリーズをリリース。「MC(メディカル・コミュニケーター)」がフィービジネス分野においてその実力を最大限に発揮できるビジネスモデルの構築を本格的に開始した

同月、メディカル社は、藤村薬品メディカル部門、天愚堂を統合し長崎県下における営業を一本化、メディカル社長崎支店を新設した。



2015年(平成27年)
1月、南九州エリアを対象とした物流ハブセンター「霧島LISセンター」が稼動。これにより、九州LISセンターとともに増加し続ける商品供給への的確な対応が可能となり、物流中核拠点の分散によって、大規模災害時におけるBCP(事業継続計画)強化が期待される。
4月、グループ新中計「ReBORN F」の一環として、専門性の強化・意思決定の迅速化・事業採算性の明確化を目指し3年間取組んだ社内カンパニー「メディカル社」は、所期の目的が概ね達成されたとの判断により発展的に解消。今後ますます医薬、メディカル単独での事業収益確保が厳しくなるとの予測の下、経営資源の共有化による事業シナジーの発揮が望ましいとの判断から、競合卸とは異質の、医薬品事業とメディカル事業が真の意味で融合した総合医薬品・医療機器として再スタートを切った。

フォレストグループの基幹会社アステムは、創業時代から受け継がれてきた、生命関連商品を地域の津々浦々までお届けする仕事に対する責任と誇りを胸に、地域社会から必要とされ、歓迎される企業になるため、これからも独自機能の開発とサービスを提供し続ける。




沿革

1998年 平成10年 キョーエイ薬品、ダイコー、コマック、サン・メックが合併し㈱アステムを設立
2000年 平成12年 佐賀県鳥栖市に「九州LISセンター」竣工
2001年 平成13年 特別早期退職優遇制度を実施、176名応募
2004年 平成16年 「Mr.会援隊」リリース、フィービジネスの本格展開を開始
2005年 平成17年 九州LISセンター、福岡県西方沖地震で被災
2005年 平成17年 地域卸9社による共同運営会社「葦の会」へ参加
2007年 平成19年 藤村薬品㈱がフォレストグループに正式参加、全九州カバー実現
2008年 平成20年 酒井薬品㈱と合併
2008年 平成20年 純粋持株会社フォレストホールディングス発足、アステムは事業会社へ
2008年 平成20年 ㈱ケーエスケー(大阪市)と業務提携
2009年 平成21年 コールセンター「なでしこ~る大分」を開設
2010年 平成22年 コールセンター「なでしこ~る福岡」を開設
2011年 平成23年 ㈱セーフマスター設立、医療安全開発事業を譲渡
2012年 平成24年 社内カンパニー制を導入、メディカル事業を「アステムメディカル社」に譲渡
2012年 平成24年 アステムメディカル社、㈱井上本店(宮崎市)を完全子会社化
2012年 平成24年 佐賀県鳥栖市に「アステムOWLセンター」竣工
2013年 平成25年 アステムメディカル社、㈱天愚堂を完全子会社化
2013年 平成25年 アステムメディカル社、㈱ユニファと合併
2013年 平成25年 MC(メディカルコミュニケーター)制度導入
2014年 平成26年 「Mr.会援隊」の後継、「JEDI」シリーズリリース
2014年 平成26年 11月 鹿児島県霧島市に「霧島LISセンター」竣工
2014年 平成26年 10月 天愚堂と合併、藤村薬品メディカル部門と事業統合
2015年 平成27年 1月 霧島LISセンター稼動
2016年 平成28年 フォレストホールディングス、株式会社データホライゾンと業務提携
2016年 平成28年 アステム、株式会社井上本店と合併
2016年 平成28年 アステム、株式会社宮崎温仙堂商店より福岡支店の医療用医薬品卸売事業を譲受
2016年 平成28年 アステム、株式会社西日本ジェネリックを子会社化
2018年 平成30年 フォレストホールディングスが株式会社ほくやく・竹山ホールディングス、株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングスと共同出資による新会社「株式会社リードスペシャリティーズ」 設立
2018年 平成30年 アステム、株式会社オンダメディカルと合併
2019年 令和元年年 アステム、株式会社データホライゾンと共同出資による新会社「株式会社ブリッジ」設立



歴代経営者

吉村恭彰
任期:1998年(平成10年)~2017年(平成29年)
吉村次生
任期:2017年(平成29年)~



セレクト画像・映像




リンク


(株)アステム[医療]のディスカッション