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[各社の歴史] シンコー薬品(株) 
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設立: 1978年(昭和53年)佐賀



歴史の概要

神代薬品と溝上薬品の合併で誕生。1994年 キョーエイ薬品へ。

1978年「三九会」に加盟していた溝上薬品(株)と神代薬品(株)の合併により設立された。同じ佐賀県を地盤とする好敵手同士の合併であった。会長に溝上久夫、社長に神代良次が就任した。社名の由来は、「シン=神」「コー=溝」という両社の頭文字、お得意様への「心交」「新興」「親交」への願いと、心の通い合う会社でありたいという強い思いも込められていた。1982年、共栄協組へ加盟。1994年、コーヤク(株)大石薬品(株)と合併しキョーエイ薬品(株)が誕生した

シンコー薬品本社屋
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シンコー薬品(株)ロゴ


詳細

◆「三九会」による業務提携

「三九会」とは、昭和40年代初頭の西九州(佐賀・長崎)を地盤とする武田薬品のシェアの高い、経営基盤の比較的似かよった卸4社による緩やかな業務提携によるグループであった。長崎の藤村薬品・重松(かさまつ)薬品、佐賀の神代薬品・溝上薬品の4社がそのメンバーであり、4社は武田薬品の指導の下、経営に関わる情報交換や共同販促等を行っていた。三九という名称の由来は、主力の武田薬品からリベートをいただく3月と9月という意味と、リベートをいただいて「Thank you」という意味も掛けていたそうだ。毎月1回、佐賀・長崎にて交互に開催されていた。

良き好敵手が合併、シンコー薬品の誕生

「三九会」の活動を通じ、緩やかな業務提携関係にあった神代薬品(創業:明治23年)、溝上薬品(創業:明治44年)の両社は、武田薬品の指導も仰ぎながら、業界の環境変化を見据え、将来に亘って勝ち残っていくためには何をなすべきかを熟慮した結果、「心のふれあいを大切に地域医療に貢献すること」、「地元医療に密着した、愛され、喜ばれる問屋となること」の実現のため、1978年(昭和53年)11月に合併した。まさに同じ佐賀県を地盤とする好敵手同士、当時としてはあまり例のない地元同士の合併であった。

新社名は「シンコー薬品(株)」と命名された。「シン=神」「コー=溝」という両社の頭文字をとったものであったが、お得意様への「心交」「新興」「親交」への願いと、お得意様、メーカーと心の通い合う会社でありたいという強い思いが込められた社名のネーミングであった。
代表取締役会長に溝上久夫、代表取締役社長に神代良次が就任、合併時の合算月商は3億円、従業員は140名であった。旧神代薬品本社に本社機能と医薬品部門が、旧溝上薬品本社にヘルスケア部門と特販部門が入居して新会社はスタートした。
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◆両社の弱みを補完しあった合併

地元同士ということで、お得意様も重複することが多く、本当に1+1が2にも、それ以上にもなれるのか危惧された、合併の当事者たちにとって危機感の強い合併であったが、逆にそれが成長へのバネとなった。またメーカー(特に武田薬品、三共、山之内はじめ主力各社)による強力な支援のおかげで、初年度を順調な業績で乗り切ることが出来た。
確かに、佐賀市内では両社は競合していたが、唐津、鳥栖、大川、柳川等の地区ではそれぞれにシェアの強弱があり、「家族的な神代薬品」と「個性的な溝上薬品」という社風の違いが合併効果となった、まさに両社の弱みを補完し合った良い合併となった。

◆県木「くす」の大木のごとく

合併後は「県木であるクスの大木のごとく、大きく根を張って、地域に密着しNo1をめざそう」をスローガンに、長期の目標として年商100億円突破と、統合本社の建築を目指しての地道な歩みが始まった。
厳しい経営環境ではあったが、全社一丸となるには最適な企業スケールであったこと、また温かみのある家族的な社風も幸いした。「攻めの営業」に徹し、全社員の献身的な働きを武器にして売上は伸び続け、経営基盤は着実に改善されていった。

◆「共栄協組」への加盟

コーヤクを中核とした共栄協組への加盟は、シンコー薬品となっての1982年(昭和57年)からだった。三九会の盟友である藤村薬品は既に1968年(昭和43年)から加盟しており、協業化活動に取り組んでいた。共栄協組の理念である「(1)自らの経営を良くする (2)協業により自らの向上を図る (3)自らの発展とグループの繁栄を一致させる」に従って行動し、共に努力を重ねていった。

◆創業15周年の年、年商100億円突破

1993年(平成5年)4月決算期において、念願の年商100億円を突破、その年はシンコー薬品創業15周年を迎えた年でもあり、全社員の念願が成就した節目の年となった。
「私が感動したことは、従業員のハツラツとした明るさでした。特に女子社員のさわやかな笑顔は何よりのプレゼントでした。活気溢れる応対に、シンコー薬品の明るい将来の展望を見ました。如何に設備、器が充実していても、それを管理し、活用するのは人です」という、創業15周年記念式典における江口県薬剤師会長の祝辞は、合併時のモットーが全社員に行き届いているということ、業界関係者から「愛され、喜ばれる問屋」」となれたことを実証した賛辞であった。

◆コーヤク、大石薬品との合併を決意

1993年(平成5年)8月、まさにシンコー薬品の新本社屋の基礎工事完了の時、流通新時代の到来を見据え、業界環境の大きな変化と自社の将来を見極めたうえで、コーヤク(株)、大石薬品(株)との合併を決意した。ちょうどシンコー薬品としての区切りの15年を終えた年でもあった。
その年の12月、三日月町の新社屋が竣工、本社機能を統合移転し、翌年1993年(平成6年)5月のキョーエイ薬品(株)のスタートを迎えることとなった。






沿革

1978年 昭和53年 11月 神代薬品と溝上薬品が合併しシンコー薬品(株)を設立
1980年 昭和55年 柳川営業所開設
1981年 昭和56年 白石営業所廃止
1981年 昭和56年 農薬部門を西九州農材へ譲渡
1982年 昭和57年 共栄協組に加盟
1983年 昭和58年 鳥栖営業所開設
1988年 昭和63年 伊万里営業所開設
1990年 平成2年 武雄支店水害の被害
1993年 平成5年 本社屋新築移転(佐賀・三日月町)
1994年 平成6年 シンコー薬品、コーヤク、大石薬品が合併しキョーエイ薬品(株)を設立



歴代経営者

神代良次
任期:1978年(昭和53年)~1994年(平成6年)



著作や参考文献

源流の地を訪ねて 佐賀



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